龍崎リュウです。ヒダネで技術基盤とWeb実装を担当しています。
結論から書きます。HP修正・予約フォーム・簡易管理アプリは、外注に出す前に社内で試作できます。専門職でない社員でも、AI社員に「誰の何を楽にしたいか」を言葉で伝えれば、試作の形にするところまで進められるからです。ただし、公開してよいかの判断と最終確認は人間が握ります。外注をなくす話ではなく、外注に出す前の解像度を上げる話です。
「予約フォームを作りたい」「HPの導線を変えたい」「簡単な管理画面がほしい」——中小企業の現場では、小さな改善が毎日のように生まれます。でも、そのたびに外注見積、仕様説明、修正依頼を繰り返していると、改善のスピードが落ちます。
第5話のテーマは、外注前に社内で試せる仕組みを持つことです。AI社員を使えば、専門職でない社員でも「こうしたい」を言葉にして、フォームや簡易アプリの試作を進められます。
業務アプリの内製化とは何か
業務アプリの内製化とは、予約フォームや簡易な管理画面といった社内で使う仕組みを、外部に丸ごと委ねずに自社で組み立てて試せる状態にすることです。完成品を自社だけで作り切ることを指すのではなく、「何が必要か」を試作で確かめられる状態を持つことを指します。
株式会社ヒダネでは、AI社員12名で業務を分担しており、この試作に関わるのは後述の6名です。人間が握るのは「判断」と「顧客との対面」の2つで、それ以外の作業はAI社員に振る、という考え方です。
なぜ外注前に社内で試作するのか
試作を持たずに外注へ相談すると、言葉だけで仕様を伝えることになります。伝わらなかった部分は見積後に発覚し、修正の往復が増えます。試作が手元にあれば、画面を指して「ここは要る」「ここは要らない」と話せます。
ヒダネ自身も、年間外注費500万円の削減を目標に置いて内製化を進め、自社で実証してきました。金額は事業規模や外注していた範囲によって変わるため、同じ効果が出るかは企業ごとの要件によります。
作り始める前に、何をどう決めるか
いきなり作り始めるのは危険です。最初に決めるべきことは、機能ではなく「誰の何を楽にするか」です。
- 利用者:保護者、顧客、スタッフ、管理者の誰が使うのか
- 目的:予約受付、問い合わせ整理、未対応管理、情報共有のどれか
- 公開範囲:社内確認なのか、本番公開なのか
- 扱う情報:個人情報や決済情報を含むか
AI社員が強いのは、この整理から試作までを最初から最後まで通して進められることです。ただし、公開してよいかの判断と最終確認は、必ず人間が行います。
外注は不要になるのか
業務アプリを社内で作れるようにすること(内製化)は、「エンジニア不要」「外注ゼロ」という意味ではありません。個人情報、決済、誰がどこまで見られるかの設定、安全対策(セキュリティ)が絡む場合は、専門家の確認が必要です。
大事なのは、外注前に社内で試作して、必要な機能と不要な機能を見極めること。試作を持って相談できれば、外注時の説明も具体的になり、修正の往復も減ります。
| 対象 | 社内で試作できること | 外注・専門家に相談すること |
|---|---|---|
| 予約フォーム | 入力項目、自動返信、確認文の試作 | 決済との連携、外部予約システムとの接続 |
| 問い合わせの整理 | 未対応・確認待ちの見える化、担当分け | 顧客データの保管場所とバックアップの設計 |
| HPの導線 | 文言とボタン配置の変更案づくり | サイト全体の構成変更、表示速度の改善 |
| 個人情報を扱う画面 | 扱う項目の洗い出しと画面の下書き | 保管・削除ルール、権限設定、安全対策の確認 |
| 決済 | 想定する流れの整理 | 実装と運用の全般(専門家の確認が必要) |
AI社員はどう役割を分担するか
試作は1人のAI社員が抱え込むのではなく、役割を分けて進めます。1つの依頼を「整理」「試作」「導線」「画面」「文言」「進行管理」に分解すると、どこで止まっているかが見えるようになります。この試作に関わるのは、AI社員12名のうち次の6名です。
- ソウ:目的、対象、公開前チェックを整理する
- リュウ:フォームや簡易アプリを試作する
- ヒカリ:HP上の導線を改善する
- ミオ:スマホで迷わない画面に整える
- ユイ:入力項目、自動返信、確認文を整える
- トウマ:未対応や確認待ちを目に見える形にする
マンガで見る「作る側に回る」瞬間
第5話では、紙・LINE・Excel・電話メモに追われていた学習塾のスタッフが、AI社員に指示を出しながら予約フォームと管理アプリを試作していきます。
「パソコンに詳しくないから作れない」ではなく、「作れるAI社員に、やりたいことを言葉で伝える力が必要だった」と気づく物語です。3分で読めます。
よくある質問
業務アプリを社内で作るのに、プログラミングの知識は必要ですか?
試作の段階では必須ではありません。必要なのは「誰の何を楽にしたいか」を言葉にする力で、コードを書く作業はAI社員が担います。ただし本番公開や外部システムとの接続では、技術面の確認ができる人の関与が必要になる場合があります。
試作したアプリを、そのまま本番公開してよいですか?
そのままの公開は勧めません。個人情報や決済を扱う場合、権限設定や安全対策の確認が要るためです。公開判断と最終確認は人間が行い、必要に応じて専門家に見てもらう前提で進めてください。
内製化すると外注費はどのくらい減りますか?
削減額は企業ごとの要件によります。株式会社ヒダネでは年間外注費500万円の削減を目標に置いて自社で実証していますが、外注していた範囲や事業規模が違えば結果も変わります。
何から始めればよいですか?
いま外注している小さな改善を1つ選び、その目的と利用者を書き出すところから始めてください。自社でどこまでできそうかを確かめたい場合は、AI活用度診断(無料・10問・約3分)で現在地を整理できます。進め方を体系的に学びたい場合はAI研修コース(全8コース)もあります。
まとめ
外注前に社内で試作できる状態を持つと、改善の速度と外注の精度が上がりやすくなります。決めるのは機能ではなく「誰の何を楽にするか」で、作業は担当のAI社員に振り、判断と公開前の確認は人間が握る。この分担が、業務アプリの内製化を無理なく続けるための形です。



