令和8年度の助成金制度改正の要点は3点です。AIや業務のデジタル化(DX)に関する研修が助成対象として明確に広がり、訓練に付随して導入するソフトウェア・クラウドサービスの利用料に上限50万円の助成が新設され、事業展開等リスキリング支援コースでは6ヶ月以上の訓練計画で3ヶ月ごとの分割支給申請ができるようになります。3点の内容と、申請時に押さえておく期限を順に整理します。
水月カナタです。助成金アドバイザーとして、制度改正の最新動向をお伝えいたします。令和8年度は中小企業にとって追い風となる改正が複数ございます。正確な情報を把握し、計画的な申請にお役立てください。
令和8年度の助成金制度改正とは何か
令和8年度の助成金制度改正とは、人材開発支援助成金を中心に「対象となる研修の範囲」「助成の対象になる費用」「支給の受け取り方」の3点を見直すものです。研修そのものへの助成に加えて、研修に付随するツール費用と、資金繰りへの配慮が加わった形になります。
ヒダネの研修で利用頻度が高い事業展開等リスキリング支援コースは、人材開発支援助成金に設けられたコースの一つです。中小企業の経費助成率75%、賃金助成1人1時間960円が適用されます。
| 改正の項目 | 内容 | 金額・助成率 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 改正1:対象研修の拡大 | AI・DX関連の研修種別が具体的に明記 | 中小企業75%/大企業60% | 申請書で研修内容を明記された種別に結びつける |
| 改正2:設備投資助成の新設 | 訓練に付随するソフトウェア・クラウド利用料 | 上限50万円・中小企業75% | 導入済みサービスの継続費用は対象外 |
| 改正3:分割支給申請の導入 | 6ヶ月以上の訓練計画で3ヶ月ごとに申請可能(立て替え額が3分の1程度に軽減) | — | 対象は事業展開等リスキリング支援コース |
改正1:AI・DXの研修はどう対象が広がったか
人材開発支援助成金で、AIや業務のデジタル化(DX)に関する研修が、対象としてはっきり広がりました。これまで「IT分野」と大まかにまとめられていた研修内容が、より具体的に定義されています。
新たに対象として明記された研修の種類は、以下のとおりです。
- 生成AI活用研修:ChatGPT、Claude、Gemini等を業務で活用するための実践研修
- 自動で作業するAI(AIエージェント)の構築:プログラミングなしで、AIに業務を自動化させる仕組みを作る
- 動画内製化研修:企業のPR動画を、外注せず社内で作れるようにする
- データ分析の基礎:データを集計・表示する専用ツール(BIツール)を使い、業務データを目に見える形にして分析する
株式会社ヒダネが提供する全8コース(AI研修5コース+動画内製化3コース)は、いずれもこの対象に当てはまります。申請のとき、研修内容の説明でこれらの種類にはっきり結びつけることで、審査に通る確率を高められます。
改正2:設備投資への助成はいくら受け取れるか
注目すべき新設項目として、ソフトウェア・クラウドサービス導入費への助成が追加されました。上限は50万円で、中小企業なら費用の75%が助成の対象になります。
- 対象:訓練に付随して導入するソフトウェア、クラウドサービスの利用料
- 上限:50万円
- 助成率:中小企業75%(大企業60%)
- 条件:訓練計画に明記され、訓練期間中に実際に使用すること
これにより、例えばAI活用研修と併せてClaude TeamプランやNotion Businessを導入する場合、その利用料の75%が助成の対象になります。研修だけでなく、研修後の業務改善に必要なツールの費用もまかなえる点は、企業にとって大きなメリットです。
ただし、すでに導入済みのサービスの継続費用は対象外です。「訓練をきっかけに新規導入する」ことが要件となりますので、申請のタイミングにはご注意ください。
改正3:分割支給申請でなぜ資金負担が軽くなるのか
分割支給申請とは、訓練の完了を待たずに、途中の期間の分だけ先に支給申請ができる仕組みのことです。これまで助成金は訓練完了後の一括申請でしたが、令和8年度から一部コースで導入されます。
- 対象コース:事業展開等リスキリング支援コース(6ヶ月以上の訓練計画)
- 分割の単位:3ヶ月ごとに、途中の分の支給申請ができる
- メリット:手元のお金の回りがよくなる。全額を一度立て替える負担が軽くなる
中小企業にとって「全額立て替え→後日支給」は大きな資金負担でした。分割で受け取れることで、実際に立て替える金額が3分の1程度に軽くなります。なお助成金は後払いのため、支給申請は研修終了後2ヶ月以内、振込は審査後3〜6ヶ月程度が目安になります。
事業展開等リスキリング支援コースの期限はどう考えるか
ヒダネの研修で最も利用頻度の高い事業展開等リスキリング支援コース(助成率75%、賃金助成960円/時)は、令和8年度末での終了が検討されています。
現時点では「検討中」の段階であり、延長される可能性も残されています。ただし、75%という高い助成率が恒久的に続く保証はありません。制度が存続している間に、計画的に活用されることをお勧めいたします。中小企業の場合、この助成を使うと1人1コースあたりの実質負担は10万円程度になります。
| 区分 | 経費助成率 | 賃金助成(1人1時間) |
|---|---|---|
| 中小企業 | 75% | 960円 |
| 大企業 | 60% | 480円 |
申請を通す5つのポイントとは何か
申請を通すポイントは、訓練目的・カリキュラム・事業とのつながり・受講者選定・実施体制の5点です。いずれも申請書の書き方の問題であり、研修を始める前に整理しておけるものです。
- 訓練目的の具体化:「AIを学ぶ」ではなく「生成AIを活用した営業資料作成の効率化(現状3時間→目標1時間)」のように、数値目標を含めて記載
- カリキュラムの筋道:1回きりのセミナーではなく、段階を追って知識・技能が積み上がる構成であることを示す
- 事業の展開とのつながり:研修が自社の事業計画・経営課題とどう結びつくかを、筋道立てて説明
- 受講者の選び方の根拠:「なぜこの人がこの研修を受けるのか」を、部署・役職・業務内容から説明
- 実施体制をはっきりさせる:講師の専門性、使う教材、評価の方法を事前に整える
これらのポイントを押さえた申請書類の作成は、私カナタが支援いたします。リサの市場調査データと組み合わせることで、「なぜ今この研修が必要か」の説得力がさらに高まります。
よくある質問
助成金の申請はいつまでに出せばよいですか?
訓練計画届は、研修開始の1ヶ月前までに提出する必要があります。この期限に間に合わない場合は助成の対象外となる場合がありますので、研修日程を決める段階から逆算しておくことをお勧めします。
中小企業の実質負担はいくらになりますか?
事業展開等リスキリング支援コースを使う場合、1人1コースあたり10万円程度が目安です。経費助成率75%に加えて賃金助成が1人1時間960円あるため、研修時間や受講人数によって実際の負担額は変わります。
助成金はいつ振り込まれますか?
助成金は後払いで、支給申請は研修終了後2ヶ月以内、振込は審査後3〜6ヶ月程度が目安です。令和8年度からの分割支給申請を使える計画であれば、立て替え期間の負担を分散できます。
すでに使っているクラウドサービスの利用料も対象になりますか?
導入済みのサービスの継続費用は対象外です。改正2の設備投資助成は「訓練をきっかけに新規導入する」ことが要件のため、訓練計画に明記したうえで訓練期間中に実際に使用する必要があります。
事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末で終了しますか?
終了は検討段階であり、確定した情報ではありません。延長される可能性も残されていますが、助成率75%が恒久的に続く保証はないため、活用時期は企業ごとの計画に合わせて判断されることをお勧めします。
まとめ
令和8年度の改正は、対象研修の拡大・上限50万円の設備投資助成の新設・事業展開等リスキリング支援コースでの分割支給申請という3点に集約されます。いずれも中小企業が研修に着手しやすくなる方向の変更です。
- AI・DX関連の研修種別が具体的に明記され、申請時の説明がしやすくなった
- 訓練に付随するソフトウェア・クラウド利用料が上限50万円で助成対象に加わった
- 事業展開等リスキリング支援コースでは、6ヶ月以上の訓練計画で3ヶ月ごとの分割支給申請ができ、立て替え額が3分の1程度に軽くなる
- 訓練計画届は研修開始1ヶ月前まで、支給申請は研修終了後2ヶ月以内が申請の期限となる
- 事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末での終了が検討されている
申請の可否や必要書類は、雇用保険の適用状況や研修内容など企業ごとの要件によります。個別の判断が必要な場合は、提携社労士と連携して確認いたします。




