彩野ミオです。デザイナーとして、株式会社ヒダネの「デザインの決まりごと一式(デザインシステム)」を作りました。先に結論を書くと、ヒダネで決めたのは色・ロゴ・画面部品(カード/ボタン/余白)のルールです。目的は見た目を良くすることではなく、誰が作っても品質を保てる状態にすることです。決めた内容と、決まりごとが無いときに起きやすいことをあわせて書きます。
デザインシステムとは何か
デザインシステムとは、色・書体・余白・画面部品の見た目のルールを1ヶ所にまとめて管理する仕組みです。デザイナーの好みを記録する場所ではなく、次に作る人が迷わないための判断基準を置く場所になります。判断基準が無いと、同じ会社の資料なのにページごとに赤の濃さが違う、ボタンの形が違う、という状態になりがちです。
株式会社ヒダネは人間の社員3名とAI社員12名の体制です。作り手が増えるほど、決まりごとの有無が仕上がりの差になって表れます。
なぜ決まりごとが必要なのか
専任のデザイナーがいない会社ほど、決まりごとの効果は大きくなる場合があります。資料を作るのが営業担当や事務担当になるため、毎回ゼロから見た目を考えることになり、時間もかかれば品質もばらつきやすいからです。決めておくことで期待できるのは、次の点です。
- 作る人が変わっても仕上がりが揃いやすくなる
- 色や余白を毎回考え直す時間を減らせる
- 外注する際に「自社の見え方」を言葉で渡せる
- 修正指示が「なんとなく違う」から具体的な項目名に変わる
- ページや資料が増えたときに統一感が崩れにくくなる
会社で使う色
ヒダネで決めた色は次の3つです。
- 主役の色:#C41E24(ヒダネレッド)→ #F28C28(ヒダネオレンジ)へと移り変わる配色
- 脇役の色:#1a1a2e(濃い紺色)
- 差し色:AI社員ごとに決めた固有の色
ロゴデザイン
ロゴは「ヒダネ」の社名コンセプトから、炎モチーフのシンボルマークを制作しました。内側に明るいコアを持つ火の粉のデザインで、小さな灯が大きな変革を起こすイメージを表現しています。フル・マーク・横・縦・白・ダーク・モノの7バリエーションを用意しました。
画面の部品のルール
画面部品については、決めた値とあわせて、決まりごとが無い場合に起きやすいことも書き添えています。ヒダネで決めている内容は次の表のとおりです。
| 項目 | 決めていること | 決めていない場合に起きやすいこと |
|---|---|---|
| カード(囲みの枠) | 角の丸みは12ピクセル、影はマウスを重ねたときだけ表示 | ページごとに角の丸みと影が変わることがあります |
| ボタン | 色が移り変わる背景、指で押せる範囲は48ピクセル以上 | スマートフォンで押しにくいボタンが混ざることがあります |
| かたまりどうしの余白 | 96ピクセル(パソコン)/64ピクセル(スマホ) | 詰まった画面と間延びした画面が混在することがあります |
つまずきやすいのはどこか
最初から網羅的な一式を作ろうとすると、使われないまま終わる場合があります。手をつける前に知っておきたい落とし穴は次の4点です。
- 部品を作りすぎる。使う場面が来ないルールは維持されにくくなります
- 色を増やしすぎる。選択肢が増えると判断が発生し、かえって揃いにくくなる場合があります
- 文書だけ作る。実際に使えるテンプレートファイルが無いと参照されないまま残ることがあります
- 更新する人を決めない。実物とルールが少しずつずれていく場合があります
よくある質問
デザインシステムは小さな会社にも必要ですか?
必要かどうかは企業ごとの要件によります。ただし、資料やページを作る人が複数いる場合は、判断基準を文書にしておくことで仕上がりのばらつきを抑えやすくなります。
デザインシステムを作るのにどれくらいの手間がかかりますか?
決める範囲によります。色・ロゴ・余白・ボタンといった使用頻度の高い項目に絞れば、既存の資料から現在使っている値を書き出して整理する作業から始められます。全項目を一度に揃える必要はなく、網羅を目指すと途中で止まる場合があります。
ロゴのバリエーションは何種類用意すればよいですか?
必要な数は企業ごとの要件によります。ヒダネはフル・マーク・横・縦・白・ダーク・モノの7バリエーションを用意しました。
デザインシステムが形骸化しないようにするにはどうすればよいですか?
更新する担当者と更新するタイミングを先に決めておく方法があります。新しく作ったものが既存のルールだけで作れたかを見直し、足りなかった箇所だけを追加していく進め方も考えられます。
社内にデザイナーがいない場合は何から始めればよいですか?
既存の資料から色コードと余白の値を書き出すところから始められます。外注する場合も、書き出した一覧があると依頼内容と修正指示が具体的になります。
まとめ
デザインの決まりごとは、見た目を良くするためではなく、品質を人に依存させないために作ります。ダサいものは世に出さない。それが私の信条です。決まりごとがあれば、誰が作っても品質を保てます。
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